介護技術の向上や居住環境の整備が、在宅介護の全てじゃない

皆さん、こんばんは。

今回は「介護技術の向上や居住環境の整備が、在宅介護の全てじゃない」を紹介します。


在宅介護においては、体調が悪くなった親の食事・入浴・排泄などの介護体制をどう整えるか、あるいは介護に最適なバリアフリーの居住環境をいくらかけて増築するかといった物理面・ハード面に、家族の関心はどうしても傾きがちになります。


そもそも最近では、家族と同居しているからといって、在宅での介護状態が実現しているとも言い切れません。

高齢の親がずっと家にこもりがちなのに対し、子供が長時間労働で帰宅が遅く、同居していながらお互いの生活サイクルが完全にずれている場合などは要注意です。


共働きの子供夫婦が早朝から深夜まで仕事で家を空け、本人は一日の大半を自宅で一人きりで過ごすことが続いたために、体調や精神面を悪化させたケースなどは、現実に少なくありません。


それ以外にも、同居する嫁姑の関係が悪化し、嫁が孫を接触させないようになったり、行事のときに親を一人残したまま子供の家族だけで外出するなど、デリケートな心理面での配慮を怠ったことによって、同居していながら親が疎外感・孤独感を感じるようになった事例もあります。


特養(特別養護老人ホーム)の入居待機者は、一人暮らしの高齢者よりも同居家族がいる人の方が圧倒的に多いとのことです。

同居する家族のなかでひとりだけポツンと孤立している高齢者の気持ちを、いったい他の誰が守ってくれるというのでしょうか?


介護施設に行ってレクリエーション等を行なういわゆる「デイサービス」の利用についても、「気分転換になるし、本人にとっていいだろう」と家族は考えがちです。


しかし、もしかしたら本人は「大して親しくもない人と一緒に歌などうたっても、全然楽しくない」と感じているかもしれません。

本人が楽しめていないもの・望んでいないものを無理に押しつけたところで、憂うつ感や精神的な苦痛が増す結果となるだけかもしれません。

在宅介護に適したバリアフリー構造へのリフォームもよく行われますが、このときも介護する自分たちの都合を優先するあまり、本人の希望をろくに聞いていないことがあります。


特にリフォームで費用面の制限がある場合、長年その家に暮らしてきた本人の要望を聞くこともなく、将来的な万一の介護事故を想定した床のバリアフリー化や浴室の改修費用などに、予算全額を使いきっていたりします。


しかし、そこに住む当人は、将来の介護を受ける時の利便性よりも大事な、日々暮らす住居で満たしたい何かしらの希望を持っていたかもしれません。

たとえば、ずっと不便に感じていた部屋があり、そこを改造して自分の老後の暮らしの質をより豊かに変えたいと、ひそかに思い続けていたかもしれません。


リフォームにおいても、在宅介護の利便性が頭にある家族は「将来のもしも・万一の事故」に目が行き、一方実際に住む当人は「今の住まいにおける不満の解消」を願っている。


予算面でどちらか一方しか選択できないとしても、その点について、本人と膝をつきあわせじっくり何度も話してみたでしょうか。

時間をかけ、お互いの気持ちをおもんぱかった結果としての選択なのでしょうか。


介護する高齢者の表情をさりげなく観察し、なにげない言葉の端々から、本人がいま何を感じ何に苦しんでいるのかを、自分のほうから話しかけて汲みとるように、心を配っているでしょうか。

なにも終始見張って聞き耳を立てろというのではなく、自分と同じように泣き・笑い・怒り・感じる、みずみずしい五感を持った等身大の人間として接し共感しようとする気持ちを忘れていないか、ということです。


食事メニューや入浴介助の技術を日々向上させていくことも、在宅介護においてもちろん大事なことです。

しかし在宅介護の日常を繰り返すなか、うっかりするといつの間にか本人を見ることが少なくなり、介護技術を行使する対象物として無機的に接する時間がつい長くなってしまいがちです。


本人のためにしたつもりが、いつの間にか当の本人を置き去りにしたまま、話を進めてしまっていないでしょうか。

高齢者本人の言動に心を添わせその気持ちを見つめることを、忘れていないでしょうか。


もちろん色々な事情から最終的に、本人の思いを叶えてあげられないケースも多いことでしょう。


それでも時にはちょっと立ち止まり、こういったことを考えてみるのも、大切なことではないでしょうか。

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